今年度からスタートした「まちなか広場賞」には、全国11の広場からご応募いただきました。いずれのまちなか広場もそれぞれの地域の中で独自の取り組みをされており、まちにとって価値ある「場」を提供しているものでした。そうした広場の中でも、公共空間の「質」研究部会まちなか広場賞審査委員会の考える「豊かさ」や「価値」を持った広場について厳正なる審査を行なった結果、下記の通り各賞を決定致しましたのでお知らせします。
【大賞】
該当なし
【まちなか広場賞(特別賞)】
1.『整備プロセス×広場』(仮称)花畑広場:熊本県熊本市
<審査講評>
広場を「つかう」ことに主眼をおいた検討を通じて、暫定広場を利活用し、将来の広場整備を検討する市民協働のプロセスそのものが、非常に高い価値であると評価します。フラットで開放的なシンプルな設えとしながら、芝生やオリジナルの木材椅子など市民に親しまれる広場としてデザインされているだけでなく、WEBやSNSの活用、インフォメーションセンターとの連動など、ハード・ソフトの工夫が見られる点も高く評価します。将来の本格整備時に素晴らしい居場所として形成されることを期待しています。
2.『社会的課題の解決×広場』かいだん広場:神奈川県横浜市
<審査講評>
まちの社会的課題解決する手段として広場が中心的役割を担い、新たなアイデンティティを形成しようとしている姿勢が高く評価されます。また、地域住民が広場に関わる全てのプロセス(発意、資金調達、整備、管理運営)に主体的に関わっている点も先進的な事例として評価します。決して大きくはない空間に対し、階段をデザインコンセプトとすることにより、多様な利用を可能にする工夫もみられます。
3.『空間の多様性×広場』うめきた広場:大阪府大阪市
<審査講評>
大階段や水盤、広場に面した施設等の多様な設えが、日常利用・イベント利用において多彩なアクティビティを誘発しており、TMOが自立した管理運営を目指して積極的な広利用を展開している点を高く評価します。民間開発により整備される模範的な広場でありながら、今後地域・市民との連携が深まることも期待します。
4.『住民協働×広場』学園通り:千葉県千葉市
<審査講評>
日常的な生活動線において、植栽管理というエリアマネジメントの基本となる美化活動から、地元のコミュニティ形成、沿道空間利活用、シビックプライド形成に至るプロセスが高く評価されます。どの道路沿道にも存在し得る広場的空間を探し・設え・利活用する事例として、他地域への展開も期待されます。
5.『文化の醸成×広場』富山市まちなか賑わい広場(グランドプラザ):富山県富山市
<審査講評>
日常利用のみならず様々なイベント利用にも対応する「つかう」を優先した広場の先導事例であり、かつ、8年間にわたる高い稼働率を実現している実績が高く評価されます。居心地の良い広場によりパブリックライフの文化が根付き、それが街の中に広がっていくことで暮らしがより豊かになる循環を生み出 す可能性を感じさせます。今後、市民が広場利用のみならず、より深く広場の運営等に関わるようになることも期待されます。
【奨励賞】
『運用システム×広場』豊田市駅西口ペデストリアンデッキ広場:愛知県豊田市
<審査講評>
ペデストリアンデッキの道路区域除外化により既存の広場空間利活用の実現、「あそべるとよたプロジェクト」という市民公募型の活動により、積極的な利活用を実施する動きが始まっており、今後のハード・ソフトの更なる充実が期待されるだけでなく、他地域の広場空間利活用の先導的事例となることも期待されます。
*写真は、第1回「まちなか広場賞」表彰式
(11月6日(金)「第3回全国まちなか広場研究会」にて)