【第6回「まちなか広場賞」の中止と今後の取り組みについて – お知らせ】

全国の広場関係者のみなさま

日頃より公共空間の「質」研究部会「まちなか広場賞」の活動にご支援、ご協力を頂き、ありがとうございます。

2020年度開催予定であった第6回まちなか広場賞につきましては、新型コロナウイルスの影響も踏まえ、慎重に検討した結果、本年は「賞」としての開催を中止することを決定しましたのでお知らせ致します。

全国の現場で、志を抱きながらも昨今の社会情勢の中で苦しく歯がゆい想いをされている、広場関係者のみなさまの状況と、私たちまちなか広場賞に携わるメンバーが共有し大切にしている、公共空間に対する感性や理念に想いを致すとき、今、このタイミングで私たちが取るべき行動は「アワード」としてのまちなか広場賞を通常通り開催することではなく、都市において公共空間が果たすべき役割やそれによってもたらされる価値をあらためて別の形で言語化し、広く共有することであるとの結論に達しました。

そのため、本年度のまちなか広場賞は中止とし、賞とは別の形で都市の公共空間に関する意思表明をしていきたいと考えております。今年度の応募を検討して下さっていたみなさまには、大変申し訳なく思っております。また、各方面の関係者のみなさまにはご迷惑をおかけ致しますが、何卒、ご理解ご協力を賜りますようお願い申し上げます。

なお、今後はこれまでの活動を振り返り、社会の変化を感じとりながらも本質がぶれることないよう、取り組みを継続していきたいと考えております。以下にその想いをまとめましたので、あわせてお読みいただければ幸いです。

昨年で5年目を迎えた「まちなか広場賞」は、地域が抱える社会課題の解決や人々の暮らしを豊かにするための受け皿としてのPublic Place(公共空間)、その象徴的な場としてのまちなか広場を対象とし、まちでの多種多様な活動の受け皿、居場所の創出、出会いの機会の提供など、暮らしをより豊かにする役割を果たしている萌芽的、発展的、独創的な「まちなか広場」を表彰することを目的に開催して参りました。

私たちは、まちなか広場とは、周囲の場(まち)や暮らしを送る人々との関係性のなかで描かれる暮らしの1シ ーンを、地域の価値観として具現化するような「生活を映す鏡」であると考えています。

そして、その鏡に映し出される街の暮らしというのは、必ずしも華やかなイベントや人々の憩いの風景だけでなく、募金活動やデモなどを通して社会に問題提起をする人々、自分の居場所を求めて仲間とたむろする若者達、人影がなくなった路上で眠りにつく家を持たない人々なども含めた、都市そのものです。

今回の新型コロナウイルスに伴う一連の報道の中でも、外出自粛要請によって家庭内暴力や児童虐待が増加した というニュースが取りざたされていましたが、都市の公共空間というのがそうした人たちにとってのセーフティネットにもなっているのだということがあらためて浮き彫りになったと感じています。

このような状況の中、今後は「新しい生活様式」や「ソーシャル・ディスタンス」という言葉と共に、新しい公共空間の在り方や活用方法などについても今まで以上に活発に議論されていくことと思います。

一方で、私たちが培ってきた公共空間に対する感性や振る舞い、暮らしの本質は簡単に揺らぐものではなく、むしろその価値が再認識されるのではないでしょうか。

これまで、誰もが実感しながら口に出したり行動を変えることがしにくかった「当たり前に良いと思うこと」をあらためてみんなで共有し、誰もが自分の感性を信じて「良いと思うことを良いと言える」状況を作っていくことこそが、豊かな未来に繋がる道だと信じております。

公共空間に関するこうした活動も、専門家や運営者が会議の場に集まり議論するのみでなく、利用者同士が道端のカフェや公園でのランチの場で自然と語り合い、無理なくできることから行動して環境が変わっていく、そのようなものになっていくのではないでしょうか。

まずは「人は人のいる場所に集まる」という真理を、都市の「リスク」ではなく「価値」として共有できる状況を、一緒に取り戻していきたいと思います。

一般社団法人 国土政策研究会 公共空間の「質」研究部会
まちなか広場賞 審査員一同