【第4回「まちなか広場賞」 受賞結果発表】

一般社団法人国土政策研究会
公共空間の「質」研究部会 まちなか広場賞審査会

 去る8月18日(土)、まちなか広場賞本審査会を開催いたしました。
本会の理念・評価方針に基づき議論を重ねた結果、下記の通り、各賞が決定しましたのでお知らせいたします。
(*9月13日:講評を追記しました。)

【大 賞】:虎渓用水広場(多治見市多治見駅北広場):岐阜県多治見市音羽町 1 丁目 229 番地

<総 評>
 広場賞審査では、地域性を大切にしながら多様な居場所づくりによって、市民のより豊かな日常生活に貢献することが、利用者に愛される広場を形成するための重要な要素の一つと考えています。
本広場は「日常でもイベント時でもいろいろな使い方ができる、いつも活気のある場所」、「水と緑が重なり合い、その中に気持ちのいい居場所が織り込まれている場所」、「多治見ブランドとして、他のどのまちにもない、ここだけの駅前風景」という3つの広場コンセプトが明瞭に整理され、水と緑が重なった日常的に使いたくなる居心地の良い空間と、賑わいを生み出すイベント空間が両立した、ここだけの駅前広場と呼ぶにふさわしい、コンセプトどおりの魅力的な空間が実現しています。
水利権(環境用水)の取得により虎渓用水を流れてきた自然の水を利用して低コストで水と緑にあふれる空間を実現し、また賑わいを支えるイベント広場は様々なイベントやアクティビティを想定した設えが施され、適切な安全管理、持続性を意識した運営等によって、均質的になりがちな駅前広場に対して新しい価値を具現化したまちなか広場として高く評価し、大賞に選定しました。

【特別賞】:該当なし

【奨励賞】:カナドコロ:川崎市麻生区金程4-3-1

<総 評>
 長年、活用方針が定まらなかった公益用地をグリーンインフラ技術を用いた研究・教育の場として捉え直すことで、“空き地”を“地域価値を高める広場空間”へと再編した切り口の新しさ。加えて、その新たな取組みを行政が発意し、実現に向けた制度が整えられたこと。広場のマネジメント主体である大学が研究・教育活動として有意義な側面を見出していること。これら事実に、空き地の常態化という都市課題の解決に向けた萌芽として本広場がもたらす価値を高く評価し、奨励賞に選定致しました。
また、本広場が備える持続的かつ発展性のあるスキームだけではなく、住宅街に位置する場所性を丁寧に読み解いた上で、地域の豊かな日常風景を生み出すための綿密な計画がハード・ソフト両面からなされていることも高く評価しています。中でも「地域で育てる広場」という戦略に基づく“今後の利活用にあわせて手を加える余地を残した緩やかなプランニング”は地域住民の主体的な関与を促すための工夫としても特筆すべき点だと捉えています。
緑や土といった柔らかな素材を中心に構成した空間は、誰もが気軽に関与し変化を加えることができるため管理や利用の実態を如実に表出します。運用開始から年月が経ち、様々な実践を重ねていく中で空間構成や管理手法、利用ルールなどがアップデートされ、より地域に相応しく魅力的な広場へと育まれていくことに大きく期待します。